昨年11月に逝去された京都情報大学院大学(KCGI)第2代学長で,オペレーションズ・リサーチ研究の世界的権威の,長谷川利治(はせがわ・としはる)先生を偲ぶ会が1月28日(土),京都情報大学院大学 京都駅前サテライト大ホールにて,しめやかに開催されました。
偲ぶ会の第1部は,クラシックファンであられた長谷川利治先生にささげる追悼コンサートで,一般の方にも開放されました。冒頭,長谷川亘統括理事長が「長谷川利治先生は本学にとって本当に偉大な先生でした。一層の発展をご霊前に誓いたいと思います」とあいさつを述べました。
それに続き,本学にゆかりの深いピアニストの杉谷昭子さんがアレッサンドロ・スカルラッティの「ホ長調 KK380」,モーツァルトの「ソナタ イ短調K310」,「ロンド イ短調K511」など,長谷川利治先生の愛した曲を演奏。また,ヴァイオリニストのグレブ・ニキティンさんとベートーヴェンの「ヴァイオリンソナタ第5番ヘ長調 『春』」,サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」などの名曲を合奏し,会場を埋めた長谷川利治先生ゆかりの方々やKCGI,KCGの学生らの感動を誘っていました。
第2部では長谷川利治先生の薫陶を受けた三人の講師が先生の業績について紹介しました。最初にKCGIの茨木俊秀学長が先生の控えめで寛容な人柄を語り,また先生の学問的業績は主に通信工学の分野で非同期時分別多重方式を提唱したことと,高速道路における道路交通制御にかかわったことにあることを紹介しました。続いて高橋豊・京都大学大学院教授が通信工学の分野,河野浩之・南山大学教授が道路交通制御の分野の先生の業績について解説しました。
第3部ではホール前のホワイエに場所を移し,ゆかりの方々100人以上のご参加による「偲ぶ集い」が催されました。長谷川利治先生の弟子であるKCGIの高弘昇教授の司会で,長谷川亘統括理事長,茨木学長のあいさつ,自由懇談の時間に続いて,西尾章治郎・大阪大学教授ら先生に薫陶を受けた7人の方々が先生の思い出を語りました。「先生がいらっしゃらなければ私の今日はなかった」(岳五一・甲南大学教授),「『常に役立つこと,いつまでも役立つこと』を学生に教えるべき,とのお言葉が心に残っている」(伏見正則・南山大学教授・東京大学名誉教授)など,先生のお人柄をしのばせるお話に会場は温かい感動に包まれました。
最後に遺族を代表してお嬢様の磯兼有水子さんが「本日はクラシックの好きな父のために追悼コンサートを催していただき,ありがとうございました。父が家で口ずさんでいた曲を演奏していただき,胸が熱くなりました。父は学生と触れ合うことが好きで,いつも自分の教え子の話を楽しそうにしていました。父の温和な人柄の故あって,今日皆様とお会いできたことを嬉しく思っております」とあいさつされました。
多くの方々を教え励まし,学問と人材育成に大きな足跡を遺された長谷川利治先生。ゆかりの方々はいつまでも先生の思い出を語り合っていました。