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第二代学長 長谷川 利治(故人)

Toshiharu Hasegawa

経歴

  • 大阪大学工学士,同大学院修士課程修了,(米国)ジョンズ・ホプキンズ大学 Master of Science in Engineering,工学博士(大阪大学)
  • 京都大学名誉教授,元南山大学数理情報学部学部長,元日本オペレーションズ・リサーチ学会会長,元国際オペレーショナルリサーチ学会連盟(IFORS)副会長,元情報システム学会日本支部(NAIS)支部長

メッセージ

私は,これまで「通信工学」,「オペレーションズリサーチ」,「道路交通制御」などを学んできました。「通信工学」の研究としては,非同期時分割多重方式によるマルティメディア通信方式を1960年代前半に提案することから始まりました。我が国においては,旧有線電気通信法が有効であった頃ですから,注目されることはなく終わってしまいましたが,後になって自分の考えがそんなには間違っていなかったことを知り,自信がつきました。

京都大学の計画工学講座へ転勤してから,「オペレーションズリサーチ」に親しむようになり,その応用分野として「道路交通制御」の現実に関わる機会を得ました。これは,私にとって重要な経験をもたらしてくれました。道路上の自動車を制御するのではなく,自動車に乗っている生身の人間である運転者の意志決定を補助するために,運転者にどのような道路関係情報を提供すれば良いのかを考えるべきだとの考えを得ました。「道路交通制御」システムは明らかに人間を含むインタラクティヴな情報システムであると理解するに至りました。

私は,主に都市内の有料高速道路の「道路交通制御」に,40年を超える期間,勉強させていただきました。私どもの年代で通信工学を勉強してきた人間にとっては,主として数学モデルに依存してきたと思っています。ある意味で人間らしさを失ったシステムについて考えてきたといえます。数学モデルに依存することの利点は当然考慮しなければなりません。モデルの構成とその基本的立場を,他者に明白にしやすい点はことに重要です。ある公理系の元での論理構造を明白にできます。そのモデルの中に人間らしさをどのように含めていくのかが問題です。このことが可能になった時,私どもは新たな知見を獲得するのです。このための手法として,たとえばシステムダイナミックス手法が,かなり確立した手法として,有効であると考えられます。

京都情報大学院大学で学び,研究することは,必ず,私どもの視野を広げてくれます。新しい地平を開くことができると確信します。

専門分野

  • オペレーションズ・リサーチ
  • システム工学
  • 通信方式
  • 道路交通制御

業績

著書

  • Real Time Programming 1981, Pergamon Press, Sep. 1981
  • Computer Networking and Performance Evaluation, North-Holland, 1985
  • Controlin Transportation Systems (1986), Pergamon Press, 1986
  • Performance of Distributed and Parallel Systems, North-Holland, Apr. 1989
  • Local and Metropolitan Communication Systems, Vol.3, Chapman and Hall, Apr. 1996

学術論文

  • 邦語電報文のエントロピー,計量国語学(3),第1巻3号,Oct. 1957
  • Digital Data Dynamic Transmission Systems, IEEE Transactions on Communication Technology, Vol.COM-12, No.3, Sep. 1964
  • トンネルダイオードを用いた三値論理回路,電気通信学会誌,第47巻,10号,Oct. 1964
  • Transmission Delay and Channel Loading in Digital Data Dynamic Transmission Systems, IEEE Transactions on Communication Technology, Vol.COM-14, No.2, Apr. 1966
  • FETを用いた三安定回路,電子通信学会論文誌,51-C巻,11号,Nov. 1968
  • Analysis of Impact of Network Delay on Multiversion Conservative Timestamp Algorithms in DDBS, Performance Evaluation, Vol.26, Dec. 1996
  • ランダム処理規則に従うゲート式M[x]/G/1システムの待ち時間の解析,Journal of the Operations Research Society of Japan,Vol.39,No.4,Dec. 1998
  • “The Traffic-Control System on the Hanshin Expressway”, Interfaces, International Journal of the Institute for Operations Research and Management Sciences, Vol.36, No.1, Jan-Feb 1995
  • “An OR/MS Approach to Managing Nanzan Gakuen (Nanzan Educational Complex): From the Strategic to the Daily Operational Level”, Interfaces, International Journal of the Institute for Operations Research and Management Sciences, Vol.36, No.1, Jan-Feb. 2006
  • アキューム | 京都コンピュータ学院校友会機関誌