京都情報大学院大学(KCGI)は,2020年11月1日に創立17周年記念日を迎え,6日(金),KCGI京都駅前サテライト大ホールで記念式典を開催しました。新型コロナウイルス感染防止のためホールには聴衆を入れず,式の模様をオンラインで配信,学生と教職員はそれぞれの場所で17周年を祝うとともに,いっそうの発展を誓いました。茨木俊秀KCGI学長は式辞で「近年は,アジアをはじめ世界中から入学者を受け入れ,グローバルな大学院としての地位を築きつつあります。一方,地域に密着したIT(情報技術)教育を展開するため,札幌サテライトと東京サテライトを開設しています。今後は,国内はもとより海外にも教育展開を図るべく,準備を始めているところです」と,KCGIの現状を説明しました。
続いて本学と産学連携協定を結んでいる日本ユニシス株式会社フェロー・総合技術研究所所長(CTO)の羽田昭裕様が「技術者という活き方:これまで働き方・人間関係・活き方に関わって見えてきたこと」と題して記念講演を行いました。羽田所長は日本ユニバック(現日本ユニシス)に入社後,研究開発部門でシミュレーション,需要予測などの研究と実用化を進め,さらに企業システムのITコンサルタントとして活躍されてきました。日本ユニシスは,本学と共同で学内に「未来環境ラボ」を設け,教員・学生と交流しながら活動を進めています。
羽田所長は講演で,京都コンピュータ学院(KCG)グループの半世紀以上にわたる長い年表とも重ね合わせながらコンピュータの歴史を振り返り,「計算機は孤独な発明家というより,チームや多彩な人間関係から生み出されました」と解説されました。これからのITがさらに飛躍的に発展する時代に活躍することになる学生たちに対しては「これからのエンジニアは,常に勉強しなくてはなりません。生涯を通して学び続ける必要性を明確に認識すること,それを実行する能力を持つことが,非常に重要です」と訴えられました。そして「やはりチームでいろんなことを学ぶことがとても大事です。(新型コロナウイルスによる)オンライン下でいろいろ難しくなっていますけれど,これも新しい挑戦だと思います。やりにくいこと難しいことは常に起きますが,結果的に新しい機会として活かせる人たちと切磋琢磨して,新しいことを生み出すことが大切です」とエールを送られました。
日本ユニシスとKCG・KCGIは2017年2月,産学が連携して次代を担うIT人材を育成しようと,学術・研究の協力関係産学連携に関する協定を締結しました。「未来環境ラボ」には日本ユニシスの研究員が駐在し,教員・学生とともに特別講座や共同プロジェクトを企画・実施するなど交流を続けています。活動の輪を地域全体に広げながら,ITのさらなる発展,地域の活性化につなげられるような成果を追い求めています。
KCGIは,1963年5月1日に創立した日本最初のコンピュータ教育機関であるKCGのパイオニア・スピリットを受け継ぎ,日本最初のIT専門職大学院として開学しました。応用情報技術研究科 ウェブビジネス技術専攻を置き,修了するとIT応用分野の最高学位である情報技術修士(専門職)が授与されます。専門分野科目群として▽ERP ▽ビジネスデータアナリティクス ▽ITアントレプレナーシップ ▽ウェブシステム開発 ▽ネットワーク管理 ▽ITマンガ・アニメ ▽観光IT―を,産業科目群として▽フィンテック ▽農業 ▽海洋 ▽医療・健康 ▽コンテンツマーケティング ▽教育―を設置し,学生が集中して効率よく学修できるよう設計しています。入学定員は,開学当初の80名(総定員160名)から,2020年度には600名(同1080名)に増員されました。ITと経営,それにコンテンツに関する知識と技術を持った優秀な人材を,国内やアジアをはじめとする世界のIT業界に送り出しています。
式典の後,Zoomを利用して,KCGグループの学校祭・11月祭を兼ねた創立記念オンラインイベントが開催されました。未来環境ラボの会場では,「技術交流会」として最新の研究に関する展示ブースを日本ユニシスからも3名の研究員が参加し設置。「AIは知恵の輪を解けるか?」「人はどのように文章を読み,理解しているのか?」「仕掛学による問題解決支援」などのテーマで情報を発信し,質疑応答を通じて学生と交流しました。「MSIパソコンセミナー」の会場ではMSI製パソコンを利用している学生向けに,知られざるさまざまな機能を紹介しました。学生が企画した「先生の対談」会場も設けられ,学生が考えた質問あれこれに,教授たちが頑張って答えていました。学生と教職員の合同企画「ゲームマッチングルーム」には4種類のゲームが用意され,参加した多くの学生・教員で盛り上がりました。