京都コンピュータ学院(KCG)創立者で初代学院長の長谷川繁雄先生の命日である「閑堂忌」(7月2日)に当たって,KCGグループは記念講演「長谷川繁雄初代学院長の四半世紀-時代とことば-」をオンライン配信,学生・教職員が自由な時間・場所で視聴し,情報処理技術教育のパイオニアとして尽力された先生のご遺徳を偲びました。閑堂忌を前にした2022年7月1日には,学生ら関係者が菩提寺である百万遍知恩寺の墓にお参りしました。
長谷川繁雄先生は1986年7月2日,享年56歳で逝去され,2022年は没後36年となります。「閑堂」は先生の雅号で,「世俗から離れ,瞑想にふける閑静な空間」を意味しています。
記念講演は,京都大学大学院教育学研究科教授で京都情報大学院大学非常勤講師の田中智子先生が行いました。田中教授は2021年の閑堂忌にも「長谷川繁雄初代学院長と京都大学-理念の源流を探る-」と題し講演しています。長谷川靖子現学院長とともに京大で学んだ長谷川繁雄先生の「直の後輩」という田中教授は,2021年講演で1960年代初めごろまでの先生の日々を歴史的に考察し,KCGの理念の源流を明らかにしました。今回講演はその続きとして,1963年の創立から先生が亡くなるまで四半世紀のKCGの歩みを,時代背景とともに先生の残した「ことば」を通し振り返りました。
田中教授は「先生は印象に残ることばを残されています。文章を大事にした,貴重な証言になっています」と,先生の「ことば」に注目し,KCGの歴史を考える手掛かりにした理由を説明しました。四半世紀を,創立のころ,KCGが確立する時代,発展していく時期に三区分して解説。「ことば」を織り交ぜながら,学校教育法改正,大学紛争,経済格差と進学の関係,高度経済成長とバブル崩壊など広範な事象とともに,KCGの歩みを確認しました。
先生の「現在,人類の文明は工業中心社会から情報産業社会へと転換しつつあり,政治・経済・文化・社会のあらゆる面において,旧来の価値体系の崩壊が起こりつつあります」という1969年当時の「ことば」について,田中教授は「今なお古びることがなく,今も引き継がれています」と指摘しました。そして「教師たちと学生たちが一致協力して新しい理想の学院を作ろうと努力しています」という1972年学生募集概要の「ことば」を紹介。「私立性,独立性がずっと継続して,先生が亡くなられて35年以上経た今も有効な理念として,われわれが味わうことができることばではないかと思います」と語り,講演を締めくくりました。
7月1日は,学生・教職員とも授業終了後など,それぞれの都合に合わせて墓参しました。知恩寺を訪れた学生たちは,墓前で手を合わせ,先生のご冥福とKCGグループのさらなる発展をお祈りしました。