「2020年,コンピュータはどう進化するか(次世代コンピュータ) これからのITシステム開発に必要となるDocker技術をご紹介」と題して,京都情報大学院大学(KCGI)・京都コンピュータ学院(KCG)などKCGグループの長谷川亘統括理事長が会長を務める一般社団法人 京都府情報産業協会が主催,KCGIとKCGなどが共催する京都情報化セミナーが,10月19日,KCGI京都駅前サテライト大ホールで開催され,多くの学生が熱心に聴講しました。講演していただいたのは,日本ヒューレット・パッカード株式会社の HPE(Hewlett Packard Enterprise)エバンジェリストリーダー・HPE総合エバンジェリストの山中 慎吾氏と,HPE認定オープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリストの古賀 政純氏です。
古賀氏は,2020年に向けてICT業界が直面する課題として,40ZB(ゼタバイト)とも予測されるネット上のデータ量の爆発的増加とそれに伴う電力消費の増大を挙げ,この課題に対応する取り組みとして,次世代コンピュータを開発するHP社の「The Machine」プロジェクトを紹介しました。このプロジェクトは,すべてのデータへの均一なアクセス,メモリとハードディスクの両方の利点を活かしたUniversal Memory技術,CPUとメモリを銅線ではなく光で結ぶ接続方法(photonics)の採用によって,ハードの側からコンピュータの省電力・効率化を目指すもので,有望な次世代コンピュータとして注目を浴びています。
続いて古賀氏は,システム開発者のアプリ開発の労力を軽減する技術としてDockerを紹介しました。このDockerは,一つのOS内でアプリケーション・プロセスを分離させてマルチOS環境を実現する「コンテナ」を管理するソフトで,この技術を採用することで,アプリ開発者はOS導入の手間を省いて,すぐにアプリ開発にとりかかれるようになり,実際にHP社では,アプリ開発に要する時間が半分以下に短縮されたと報告されました。この技術によって,アプリ開発数は増える一方なのに開発期間は短くなっているICT業界において,開発者の労働環境の改善・ストレス軽減が期待されるということです。