メッセージ
アクセスラインに関しては世界有数の日本ですが,その利用についてはまだまだであり,新しい技術やサービス等の面においては途上国であると言わざるを得ません。通信インフラは,後から整備する方が,迅速かつ安価に性能のいいものを設置することができます。一口に光ファイバーといっても15年前のものと現在のものとでは,その性能比は驚くべきものがあります。そういう意味においても,現在の状況をみて安心するわけにはいかないのが,ITの世界だと思います。
1995年からインターネットの仕事に携わっていますが,日本発の新しい技術やサービスはほとんどなく,すべての技術やサービスは欧米,特に米国からの輸入・参入品と言っても過言ではないでしょう。また,今や誰も意識すらしていませんが,インターネットは世界中を均一にする通信網です。アジアの多くの地域で利用可能ですし,アフリカの砂漠地帯から中南米の紛争地帯まで利用できます。つまり世界中がライバルであり仲間です。
その上,インターネットのほぼすべての事柄(基本的なプロトコルから上位レイヤーの仕組みまで)は,すべて民間組織で決めており,条件はあるものの「フラットな世界」の典型であり,これを維持発展させていくことは「人類の挑戦」とも言えるのではないかと考えております。
単に技術を修得するだけでなく,インターネットやITの本質を理解し,国際的な枠組みの中で,これらを人類のために進展させることができる人間が求められていると思います。