概要
ネットワークサービスは,今日の情報システムを支える重要な要素です。ネットワーク管理者は,コンピュータネットワークやサーバシステムの構築,障害対応,維持管理を担い,ネットワーク障害が発生した際には,障害からの復旧やネットワーク上のデータの保全を行います。この専門分野では,学生はネットワークシステムの運用や情報セキュリティの知識を身につけます。
目指す人材像
- インターネットサービスの設計・運用・管理
- 企業の社内ネットワークおよび基幹業務システムのセキュリティ管理者
- 各種サーバ環境(ウェブ,データベース,動画配信等)の構築・運用マネージャー
- クラウドサービスやIoT機器などを含む多様なネットワークの統合支援コンサルタント
- ネットワークを介したサーバ/クライアントシステムの開発・運用エンジニア
過去のマスタープロジェクトのテーマ
- 公共交通ルート案内システムの開発
- 情報セキュリティ事件への対応に関する一考察
- 社会保障・税番号(マイナンバー)制度のセキュリティに関する考察
- 一定距離内の人口の評価法に関する研究〜ポリゴンと円の共通部分面積を用いた手法の開発〜
- 航空管制電波利用に関する考察
マスタープロジェクト担当教員の声
内藤昭三教授
私の専門は情報セキュリティ&ネットワークです。情報システムの構築・運用において,ネットワークとセキュリティは,相補的な車の両輪のようなものです。ネットワーク化により,情報システムの利便性は高まりますが,それに比例して,セキュリティリスクも高まります。ネットワーク技術,セキュリティ技術とも,互いに競い合うごとく日々進化しています。「ユビキタスネットワーク社会」という標語のもと,あらゆるモノがネットワーク化されています。その一方で,クラウドコンピューティングに代表されるように,ハードウェア,プラットフォームからソフトウェア(アプリケーション)のデータセンターへの集中化が進んでいます。
もちろんこのようなサービス環境は,強固な情報セキュリティの上で実現できるものです。個人情報の漏洩,コンピュータウイルスへの感染,ウェブサーバへの侵入とページの書き換え,eコマース詐欺など,被害の規模も,ネットワーク化の進展に比例して増大しています。かといって,もはや「鎖国」の時代に逆行することは現実的な解ではあり得ず,状況に適したバランスあるソリューションが要求されるわけです。
これから入学される皆さんには,理論および実践の両面でのバランスを取りながら,最新のネットワークおよび情報セキュリティ技術の修得にチャレンジしていただきたいと思います。情報通信技術とそれを使う上での情報倫理が,社会システムにおいて果たす役割についても考えを巡らす機会を持っていただくことを期待します。
マスタープロジェクト担当教員の声
髙橋豊教授
20世紀末からの急速なインターネットの利活用の拡大で,情報ネットワーク技術者の活躍の場はますます広がり,従来型の情報通信産業だけではなく,製造,金融・保険,運輸・輸送,電子商取引,広告,娯楽など,我が国の経済活動の大部分に及んでいます。
今後はさらにIoT,車を取り巻くCASE(Connected, Autonomous/Automated, Shared, Electric)技術,ビッグデータの利活用,VR・ARなどにおける情報の速やかで確実な送受信のために情報ネットワークの果たす役割がより一層重要になります。そのためにBeyond 5G技術など新しいネットワーク技術が急速に開発されつつありますが,これらの技術を知識として身につけるだけでは,次代を担う先端ネットワーク技術者にはなり得ません。これまでのネットワーク技術の体系を理解し,その開発途上における問題発見・解決プロセスの論理的考察を通して基礎力と応用力の涵養を図ることが重要です。このような観点から,情報通信ネットワーク,特に,インターネットの構成原理・機能を学び,有線・無線LAN, WAN, MAN, BAN, PANなどの種々のネットワーク・アーキテクチュア,さらに経路制御,フロー制御,輻輳制御などの制御技術を修得する必要があります。