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今井 正治

Masaharu Imai

経歴

  • 名古屋大学工学士,同大学院博士課程修了(情報工学専攻),工学博士
  • 大阪大学名誉教授,元大阪大学教授,元豊橋技術科学大学教授,元米国サウスカロライナ大学客員助教授
  • IEEE Lifetime Member,IEEE Standard Association Member,IFIP Silver Core Member,IFIP TC10 WG10.5 Member,情報処理学会フェロー,電子情報通信学会フェロー,電子情報技術産業協会(JEITA)半導体&システム設計技術委員会 客員,エイシップ・ソリューションズ(株)代表取締役

メッセージ

2016年4月にスイスで開催された世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)では,「第4次産業革命」について活発な議論が行われました。第4次産業革命では,人工知能(AI)やロボット技術が今後の産業を大きく変革していくと言われています。

第1次産業革命では,「蒸気機関」という動力の出現によって産業構造が変化しました。それに続く第2次産業革命では,「電気」と「石油」を用いた大量生産方式にもとづく工業生産技術が産業構造を変化させました。また,第3次産業革命では,「コンピュータ」による情報処理の自動化が産業構造を変化させる主役となりました。

現在進行しつつある第4次産業革命では,さまざまな「モノ」が「インターネット」に接続され,それを「AI」が制御することによって産業構造が変化します。またこれに伴って人間の役割や仕事の仕方が大きく変わることになります。「インターネット」に接続された「モノ」から構成されるシステムはInternet of Things(IoT:モノのインターネット)と呼ばれています。ロボットを賢く動かすためにもIoTとAIの技術が必須です。

第4次産業革命の最大のインパクトは,機械と機械(Machine to Machine: M2M)の間での情報のやり取りや制御も人間を介することなく実行できるようになってきたという点です。すなわち,これまでインターネットで集められた情報をコンピュータで解析した結果を人間が見て判断していたシステムが,コンピュータによって人間を介することなく「知的な判断」が行えるシステムに置き換えられつつあるという点です。しかも,コンピュータは人間に教えられなくても自己学習できる能力を持ちつつあります。

これまでは人間が設計したプログラムを用いてコンピュータが判断するという方法で処理が行われてきましたが,AIの一種である機械学習(Machine Learning)の技術の発達によって,判断の方法を機械(コンピュータ)が自ら学習できるようになってきました。これまで,コンピュータが人間に勝つことは難しいであろうと長年思われていた囲碁や将棋というゲームでもコンピュータが勝てるようになったのは,ビッグデータ解析技術(大量のデータをコンピュータで解析することによって最適と思われる判断を行う技術)と機械学習技術が進歩したからです。

これによって,人間が社会の中で果たす役割も変化します。現在人間が行っている仕事がAIに奪われ大量の失業者が発生すると主張する人たちもいますが,私はそうは思いません。第4次産業革命によって人間が行う必要がなくなる職種が存在するのは確かですが,同時に新たに発生する職種もあるからです。このような変化は過去の産業革命でも同じように起こりました。

21世紀の人類の目標は,現在我々が直面している様々な社会的課題を解決し,人間が幸せに生活できる永続性のある社会を実現することだと私は思います。我々が生活している社会の様々な課題を解決するために,IoTとAIは大きな威力を発揮することになると思います。

私たちは,今まさにこのような技術の大きな転換点で生きています。学生諸君が将来,本学で勉強した知識や技術や考え方を活かして,それぞれの立場で社会に貢献していただけることを期待しています。

担当科目

  • コンピュータプログラミング(Python)
  • IoTと無線ネットワーク
  • IoTと人工知能
  • オナーズマスター論文

専門分野

  • 電子システムの設計最適化手法
  • 命令セットプロセッサ開発手法
  • LSI技術の医療への応用

業績

著書

  • 竹田尚彦,大岩元,今井正治 他著,「実践ソフトウェア作法」,CQ出版社,ISBN4-7898-3474-3 C3055,1988年
  • 杉山尚志,今井正治 監修,杉山尚志,今井正治 他著「超LSI設計シリコンコンパイレーション」サイエンスフォーラム社,1988年
  • 曽和将容編,曽和将容,柳瀬龍郎,今井正治 他著「コンピュータ基礎工学」昭晃堂,ISBN4-7856-3081-7,1992年
  • 今井正治編,今井正治他著「ASIC技術の基礎と応用」 電子情報通信学会(コロナ社)ISBN4-88552-119-X,1994年
  • Masaharu Imai, Yoshinori Takeuchi, Norimasa Ohtsuki, and Nobuyuki Hikichi, “Compiler Generation Techniques for Embedded Processors and their Application to HW/SW Codesign”, in Ahmed A. Jerraya and Jean Mermet (Eds.), System-Level Synthesis, pp. 293-320, Kluwer Academic Publishers, ISBN 0-7923-5748-5, 1999.
  • Yuki Kobayashi, Yoshinori Takeuchi, and Masaharu Imai”,ASIP Meister” in Prabhat Mishra and Nikil Dutt (Eds.) Processor Description Languages, Chapter 7, Springer, ISBN978-0-12-374287-2, 2008.
  • Ittetsu Taniguchi, Masaharu Imai, and Francky Catthoor, Design Methodology for Reconfigurable Processors, Lap Lambert Academic Publishers ISBN 978-3-8383-8928-8, 2011
  • 今井正治編,今井正治,東野輝夫,武内良典,橋本昌宜著 「論理回路」オーム社 ISBN978-4-274-21806-4, 2016年

他8編

学術論文

  • Yoshinori Takeuchi, Masaharu Imai, “Very Tiny Inner Bladder Pressure Sensing System for Long Term Ambulatory Urodynamic Monitoring”, Trans. of Japanese Society for Medical and Biological Engineering, Vol. 51, p. M-119, Oct. 2013.
  • Salita Sombatsiri, Yoshinori Takeuchi and Masaharu Imai, “An Efficient Performance Estimation Method for Configurable Multi-layer Bus-based SoC”, IPSJ Trans. on System LSI Design Methodology, Vol.8, pp. 26-37, 2015.
  • Yuuka Hirao, Jaehoon Yu, Yoshinori Takeuchi, Masaharu Imai, "Arrhythmia Detection Using a Deformable Part Model and Time Domain Features”, in Proc. of International Workshop on Smart Info-Media Systems in Asia (SISA 2016), pp. 94–99, 2016, (SISA Best Student Paper Award).
  • Tomoki Sugiura, Arif Ullah Khan, Jaehoon Yu, Yoshinori Takeuchi, Seiji Kameda, Takatsugu Kamata, Yuki Hayashida, Tetsuya Yagi and Masaharu Imai, "A Programmable Controller for Spatio-temporal Pattern Stimulation of Cortical Visual Prosthesis”, in Proc. of IEEE Biomedical Circuits and Systems Conference (BioCAS 2016), pp. 432–435, Shanghai, China, 2016.
  • Tomoki Sugiura, Masaharu Imai, Jaehoon Yu, Yoshinori Takeuchi, “A Low-Energy Application Specific Instruction-Set Processor towards a Low-Computational Lossless Compression Method for Stimuli Position Data of Artificial Vision Systems”, Journal of Information Processing, Vol. 25, pp. 210–219, 2017.

他 200編以上

翻訳

  • 今井正治 監修,今井正治,渡辺潔,横田隆司,瀬尾和男 訳「比較研究 RISCアーキテクチャ」日経BP社,ISBN4-8222-7135-8,1992年.(原著: Stephen B. Furber著 VLSI RISC Architecture and Organization, Marcel Dekker, Inc., 1989.)
  • 今井正治,山田昭彦 監訳,メンター・グラフィックス・ジャパン株式会社訳「VHDL」アスキー出版,ISBN4-7561-1906-9,1996年.(原著: Douglas L. Perry著 VHDL, Second Edition, McGraw-Hill, Inc., 1994.)

特許

  • 今井正治,武内良典,坂主圭史,浜辺崇,君家一紀,安部公章,「誤り訂正符号処理方法及びその装置」,特願2012-514716 (P2012-514716),国際出願番号 PCT/JP2011/002639,国際出願日 2011年5月11日.
  • 武内良典,今井正治,中塚祥子,「生体情報の圧縮方法およびデータ圧縮装置」,特開2015-88911 (P2015-88911A),公開日 2015年5月7日.

受賞

  • IEEE Life Member
  • ACM Service Award
  • IFIP Silver Core
  • 情報処理学会フェロー
  • 電子情報通信学会 功労賞
  • 電子情報通信学会 フェロー
  • 野津隆弘,岩戸宏文,稗田拓路,Huynh Long Kim,田中浩明,佐藤淳,塩見彰睦,北嶋暁,坂主圭史,武内良典,今井正治,ベストポスター賞,SWEST7実行委員会
  • 今井正治,LSI IPデザイン・アワード 奨励賞 「One Day Designed Processor」, IPアワード運営委員会
  • 今井正治,小林士朗,田中浩明,武内良典,坂主圭史,LSI IPデザイン・アワード 奨励賞「短期間での信号処理アプリケーション開発のためのブロック浮動小数点プロセッサコア」
  • Hiroki Osawa, Hirofumi Iwato, Kanehiro Kondo, Keishi Sakanushi, Yoshinori Takeuchi, Masaharu Imai, Akira Matsuzawa, Yoshihiko Hirao, “IEEE Solid-State Circuits Society Japan Chapter Academic Research Award”, IEEE Solid-State Circuits Society Japan Chapter
  • Ittetsu Taniguchi, Murali Jayapala, Praveen Raghavan, Francky Catthoor, Keishi Sakanushi, Yoshinori Takeuchi, and Masaharu Imai, “The IEEK Semiconductor & Device Society paper award”, The Institute of Electronics Engineers of Korea
  • 田中輝明,武内良典,今井正治,優秀論文賞「共有資源モデル記述を用いた実時間制御システムのモデリング手法」,情報処理学会 組込みシステムシンポジウム(ESS)2016