メッセージ
変革を推進する創造性あふれる人材の育成を目指して
コンピュータは当初,数値計算を高速に行うための機械として誕生しました。やがて,広く情報処理に利用されるようになり,様々な情報システムが構築され,いわゆる情報化社会が発達してきました。さらに,これらは通信技術と結びついて,コンピュータ間の通信が行われるようになり,コンピュータ・ネットワークへと進化し,ついに現在の世界規模のインターネットへと発展してきたのです。
コンピュータを活用した情報システムの発達は,社会のあらゆる面に応用され,現在各分野において,高度で複雑な情報技術の開発応用が進められています。
情報技術の進歩発展の経過をたどってみますと,今までは主として新しい技術の開発の成果が応用に活用されるという面が多かったのですが,次第に,応用面からの要求が新しい技術の研究開発を促進するという方向に向かっています。すなわち,基礎技術と応用とが互いに刺激しあって新しい発展を遂げているのです。
応用分野の一つとして企業経営の面を取り上げてみますと,情報技術の発展に伴って,ビジネス手法に革新的な改変が求められています。すなわち,企業規模の大小に関わらず,従来型の経営手法から新しいビジネス形態に移行することが避けられないのです。インターネットの発展とともに様々な情報技術が開発されています。その新技術に応じてウェブ・ベースの新しいビジネス形態も開発されています。今日では,それらの新しい技術とビジネス形態なくしては,効率の良い合理的な企業経営を進めてゆくことが不可能な状況になってきているのです。
そのような経営の変革を実現するためには,まず,優れた人材が求められます。その改革に対応し得る人材は,企業経営についての十分な理解と最新の情報技術についての知識を持ち,将来の技術の発達を見通して活用する能力,或いは,更に応用面からの要求に応える新技術を開発する能力を有することが望まれます。
では,そのような人材を育成するという観点から見ますと,現在の日本の教育は対応できているのでしょうか。残念ながら,従来型の大学教育では不十分であると言わざるを得ません。既存の大学では従来からの学究的態度で臨んでいるところが多く,基礎的な研究を重視し,狭い専門分野に限定された研究教育が中心です。勿論,その面で素晴らしい成果を上げていますが,実践的な応用を対象とした柔軟で融通性のある能力を培うような教育は必ずしも十分ではなかったと言えます。
特に,情報技術のように日進月歩の進展が見られ,また画期的な新技術,新手法が日々開発されているような分野では,実践的な応用に対応した人材育成方法がとられなければならないのです。
そのような状況の下において,2003年に専門職大学院の制度が施行されました。我々は早速この制度に則り,前記のような人材育成のための大学院大学の新設を計画しました。幸いに各方面のご理解とご協力をいただき,わが国最初の応用情報技術を専門とする専門職大学院,京都情報大学院大学を開学いたしました。
本学では従来の大学や大学院では考えられなかったような,特徴のあるウェブビジネス技術を専攻する実践的な科目を編成しました。それらを担当するための教員として,企業における実務経験の豊富な方々を教授陣に迎えました。
勿論,大学として将来の発展の源となるような,思考力,創造力を養うような基礎的・理論的な学問も重視し,そのような科目は優れた学術的研究業績を有する教育経験豊かな方々が担当しております。
入学者につきましては,大学における出身学部,専攻にとらわれず,理系文系の区別なく広範な分野の出身者,すでに社会において活躍されている社会人の方々など,年齢,経歴を問わずに受け入れております。こうして集まった多種多様な学生諸君は一堂に会して受講するだけでなく,お互いに切磋琢磨し,他処では得られない知識や技能を修得しています。
以上のような構想によって,京都情報大学院大学では現代の情報化社会が求めている実践力があり,しかも新しい応用に対するシステムを開発する創造力のある人材の育成を目指しています。
21世紀の社会の中核となって活躍しようと志している意欲ある方々の入学を期待しています。